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「もっと見える、測れる、基本を極めたベーシック」をキーワードに登場したオシロスコープTBS2000B

記事の転用はTechEyesOnline2020/08/04 技術情報・レポートより詳細はこちら

オシロスコープを長年に渡って世界の多くの技術者に提供してきたテクトロニクスはベーシックなオシロスコープからハイエンドな製品まで多彩なラインアップを持っている。2020年4月28日に発表されたベーシック・オシロスコープTBS2000Bはテクトロニクスの長い歴史を引き継いだ製品と思えるので、今回はテクトロニクス パートナー営業部 担当部長の柴崎 裕士様とマーケティング部 製品担当のLin Li様に製品の狙いや特長を伺った。

オシロスコープの波形を正確に観測するという目的に忠実なTBS2000B

テクトロニクスは1946年にオシロスコープを製造する会社として始まった。現在ではオシロスコープ以外のさまざまな測定器も販売しているが、事業の基軸はオシロスコープとなっている。

オシロスコープがアナログからデジタルへ変化したことによって、オシロスコープは単なる信号波形を見るだけの単機能な測定器から波形を解析して必要な情報を得る複合測定器に進化した。しかしオシロスコープの原点はアナログ信号波形を正確に観測するためのもので、今回発売したTBS2000Bはオシロスコープの原点を重視し、さまざまなプローブが使える操作性のよいベーシック・オシロスコープと位置付けている。

ベーシック・オシロスコープの位置付けを持つTBS2000B

ベーシック・オシロスコープの位置付けを持つTBS2000B

テクトロニクスのTBS2000Bオシロスコープは、従来からある開発から生産/保守の幅広い分野での利用と、グローバル市場で拡大が期待される次世代人材を育てる教育分野での利用を目指している。世界では技術開発ができる人材を積極的に増やしていく政策を持つ国が多くあり、効果的な教育環境の構築が求められている。特に電子回路の実習などで使うオシロスコープは必須の測定器になるのでTBS2000Bオシロスコープも教育分野での利用を対象にしている。

テクトロニクスのポータブルオシロスコープの歴史は長く、1967年に発売された150MHz帯域の454や1972年に発売された200MHz帯域の475は世界中で多く使われた。アナログオシロスコープは機能がシンプルであったため、基本的な知識があればパネルにある操作キーを見るだけでおおよその使い方は理解できた。

アナログオシロスコープ時代のポータブルオシロスコープ 475A

アナログオシロスコープ時代のポータブルオシロスコープ 475A

1990年代後半になると100MHz〜500MHz帯域のTDS3000シリーズを発売したことによって、ポータブルのデジタルオシロスコープの普及が一気に進み、アナログオシロスコープは姿を消した。現在は初期のデジタルオシロスコープが更新される時期になっている。

現場での使いやすさを目指したTBS2000B

TBS2000Bシリーズは70MHz〜200MHz帯域のオシロスコープである。高速のデジタル回路の評価を行う技術者には周波数帯域が不足するが、メカトロニクスやパワーエレクトロニクスなどの幅広い分野では200MHz帯域があればかなりの波形観測ができる。また組み込み機器のファームウェアを開発するソフトウェア技術者もこの帯域があればデバッグ作業ができる。

200MHz帯域以下のオシロスコープは世界中の多くの測定器メーカで作っている。各社の特長は異なるが、価格や機能の多さを重視した製品は多く存在する。テクトロニクスのTBS2000Bは「オシロスコープは原点であるアナログ信号波形を正確に観測できること、スムーズな操作ができること」を重視した製品となっている。

また、TBS2000Bを利用する技術者はオシロスコープに標準添付された受動プローブを使うだけではなく、電流プローブ、高電圧差動プローブ、低入力容量の能動(アクティブ)電圧プローブなどを使う機会がある。TBS2000BにはTekVPIプローブインタフェースがあるので、電源が必要な電流プローブや高電圧差動プローブは外部電源を用意しなくてもオシロスコープにワンタッチで接続できる。テクトロニクスの強みはさまざまな用途に使える多くの種類のプローブを、使い易い操作性で提供できることである。

TekVPIプローブインタフェースを搭載

TekVPIプローブインタフェースを搭載

TBS2000Bのもうひとつの特長として使いやすい操作性がある。9型の大きな画面を搭載しているので、操作に必要な情報は1つの画面に表示することができ、今までのような深いメニュー構造の操作体系とはなっていない。例えば観測した波形から測定値を得る操作では1つの画面から必要な測定パラメータを選択する操作体系になっている。

すべての測定項目が1つの画面に表示されている

すべての測定項目が1つの画面に表示されている

アナログフロントエンドの性能を向上させて低ノイズな波形観測を実現

TBS2000Bでは低ノイズに波形観測ができるようにするため、新たに搭載したアナログフロントエンドASIC(Application Specific IC)はワンランク上位機種と同じものとしている。製品仕様では表現していないが、新旧のTBS2000シリーズを比較すると差が明確に判る。

従来の製品より大幅にノイズを低減している

従来の製品より大幅にノイズを低減している

最後にベーシックなオシロスコープは長期間にわたって頻繁に使われる測定器である。このため高い信頼性とメーカの修理や校正の支援が得られることが必要となる。1965年から日本でビジネスを行っているテクトロニクスは利用者の期待に応える支援体制が充実していることも強みとなっている。

おわりに

過去にはオシロスコープはハードウェア技術者のための波形観測ツールであったが、最近では組み込み機器のデバッグを行う際に、ソフトウェア技術者が使う機会が増えている。日本が競争力のある自動車、産業機械、白物家電などの分野に携わるハードウェアやソフトウェアの技術者にとって、TBS2000Bは「プロの日常使いのオシロスコープ」になると思われる。

テクトロニクスはTDS2000CやDPO2000Bを現在でも販売しているが、性能が上回るTBS2000Bに切り替わっていくと予測される。TBS2000Bがベーシックなオシロスコープ市場に与えるインパクトを注目していきたい。

モデル概要

型名 TBS2072B型 TBS2074B型 TBS2102B型 TBS2104B型 TBS2202B型 TBS2204B型
アナログ・チャンネル数
周波数帯域 70MHz 70MHz 100MHz 100MHz 200MHz 200MHz
最大サンプル・レート 2GS/s(ハーフ・チャンネル)
1GS/s(全チャンネル)
2GS/s(ハーフ・チャンネル)
1GS/s(全チャンネル)
2GS/s(ハーフ・チャンネル)
1GS/s(全チャンネル)
2GS/s(ハーフ・チャンネル)
1GS/s(全チャンネル)
2GS/s(ハーフ・チャンネル)
1GS/s(全チャンネル)
2GS/s(ハーフ・チャンネル)
1GS/s(全チャンネル)
レコード長 5Mポイント 5Mポイント 5Mポイント 5Mポイント 5Mポイント 5Mポイント
※ その他の詳細な仕様は製品カタログを参照ください
情報提供元 株式会社テクトロニクス&フルーク

編集 TechEyesOnline事務局

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